« March 2005 | Main | May 2005 »

17 April 2005

花束の贈りもの

bouquetあるご縁で、ハーブ研究家として有名な先生の横浜のご自宅におじゃまさせていただく機会を得た。先生に直接お会いするのも初めて。しばらく前から少し緊張しながら、その日を迎えた。

ところどころに薄紫の花をつけたローズマリーがうねうねと枝をのばし、ガレージ脇にはヒメツルニチニチソウが茂り、庭からもさまざまな木の枝がこぼれるようにのびている一軒の家。玄関前は甘い花の香りが満ちている。かわいらしいブルーの扉から、きれいなピンク色のシャツを着た先生が出ていらした。

居間に入るとテーブルの上に飾られた花が目に入る。ブルーのブリキの水差しに入った、お庭に咲くいろいろな花を摘んでまとめた小さな花束。茎の根元から摘んで、葉っぱごとまとめてあるので、グリーンの濃淡がやわらかさを添えている。同行させていただいた年上の女性とともに、そのやさしい色のかたまりに見入った。

帰り際にこの花束をおみやげに頂いた。私たちふたりのために、朝摘んで花束にしておいてくださったそうだ。ブリキの水差しからそっと持ち上げると、花束はちゃんと2つに分けられていた。

自宅に戻り、水切りをしてガラスの器に飾って改めて観察。淡いグリーンのクリスマスローズ、ツルを長めに切ったカロライナジャスミン、濃い緑の葉もきれいなヒメツルニチニチソウ、八重、黄色、レモンイエローのミニスイセン、ムスカリ、ワスレナグサ、カモミール、スノーフレーク、スミレ、ローズマリーなど、数えてみたら17種類。

この花束のみずみずしい元気さは、4日たった今日もそのまま。どれも生き生きとしている。持ち帰った時にはつぼみだったカロライナジャスミンも開き始めた。

見事なバラやユリの入った華麗な花束も嬉しいけれど、こんなナチュラルなやさしさにあふれる花束もとても嬉しい。目にとまるたびに、花々が育っていたやさしい庭がその延長に見えるような気がする。イギリスのコテージガーデンの中にダイニングテーブルがあるような錯覚をおぼえながら、ここ数日を過ごしている。

violet
←お庭を案内しながら先生が摘んで
 大切に手渡してくださったニオイスミレ。
 その名は『プリンセス・ダイアナ』。









citrus

      大きいほうはグレープフルーツ。
      種から育てたのだそう。すごい!
      味が濃く、びっちりと実がつまっていて
      とてもおいしかった。       →

| | Comments (0) | TrackBack (0)

09 April 2005

流行というフィルタ

季節がらか、植物がらみの内容が続いているが、今回もまた植物について。

christmasrose1
christmasrose2
植物、園芸の世界にもファッションと同じように『流行』がある。流行にのり、注目された植物は、外来種も含めてたくさんの品種が雑誌などで紹介され、店頭に並ぶ。さまざまな形、色合いのものを入手できる機会が増え、認知されていく。最近はクリスマスローズに注目が集まっていて毎年クリスマスローズの展覧会も開かれている。

毎年5月に英国で開催されるチェルシー・フラワー・ショーにも、その年その年のトレンドがある。おそらく流通的なもくろみから作られた流行もあるに違いないが、毎年の流行を見るのはとても面白い。その対象は、植物の種類、花の色、葉の色、ガーデンの構成、園芸用品など多岐にわたる。定番的人気で、大きなブースいっぱいに毎年紹介されるものももちろん存在する。

一方、大した注目もされないままの植物たちも多い。今後、なにかのきっかけで急に脚光をあびるものたちも、きっとあるのだろう。

私の庭でも、注目もされず、大した愛情も注がれぬまま、淡々と育ち、ツルを伸ばしてきた植物がある。少し高い位置にある花壇からはうようにツルが伸びればきれいかな、という程度の思いで何株が購入した。植えた年も翌年も花をつけなかったので、2年目に初めて花が咲いたときは育て冥利につきるというか、嬉しさが込み上げた記憶がある。なのに、開花した写真さえ残っていない。ほっておいても元気に育つので、伸びすぎたツルを切ることにばかり注力していたほど。

vinca
その植物とは、『ヒメツルニチニチソウ』。学名では『ビンカマイナー』、英語名では『ペリウィンクル』と呼ばれる。ヒメツルニチニチソウを調べる機会を得てから、現在、愛情が急上昇中。

『花が咲いたよ!』と言わんばかりに、開花中は茎を直立させてアピールし、花が終わると茎は直立をやめて静かにはう。冬の間もたまご型のつやつやとした葉が美しく、古代ローマ時代から人々の暮らしのなかで愛されてきた歴史も持つ。含まれる成分には、脳を健康にする働きがあって、ヨーロッパではそれを目的に飲用されているという。ヒメツルって、こんなにかわいかったんだなぁ、今までごめんね、という思いでいっぱい。

こんなことがあり、庭に育つ植物たちをすみずみまで観察してみた。グランドカバープランツという役割を果たしながら伸び放題のグレコマは、けなげな小さな花をつけ、3年前に植えた球根花はひょろひょろとした茎を伸ばして精一杯の花を咲かせている。枯れたと思って放置していたフェンネルもふさふさとした葉を伸ばしている。

元来ヒネクレモノを自負する私は、ガーデニングブームのなか、頑なに『園芸』という呼び名を用い、定番的な植物、自分の視点で花色を選んできたつもり。昔から育てているものも大切にしてきたつもり。しかし、無意識のうちに流行というフィルタを通して接していたのかもしれないなぁと、庭を見ながら今改めて思う。リビングルームから一番よく見える場所に、クリスマスローズがたくさんの花をつけて揺れているんだもの。。。


※クリスマスローズは、私たちが『花』と認識している部分が実は『がく』にあたります。そのため、『花』の開いたような状態が長く続き、楽しめる期間が長いのが魅力。また、日かげで育ち、どんどん株が大きくなるのも、園芸家にとって嬉しいことのひとつかもしれません。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

03 April 2005

記録すること

hyacinth日中は窓を開けていても気持ちのよい季節になった。朝、カーテンを上げ、窓を開けると、庭からヒヤシンスの香りが部屋の中に入り込んでくる。

今年も白とブルーのヒヤシンスの花がいっぱい咲いた。いつも白とブルーのタイミングが微妙にずれるのだが、今年はぴったり同時期! たくさんの球根をまとめて植えたので、今はヒヤシンスの存在感が主役になっている。

そう、花の咲く時期というのは、タネや球根の入った袋や、本に書いてあるとおりにはなかなかいかない。そのタイミングは、植物個体の性質にもよるし、その年その年の気温やお天気、育つ環境にもよるから、自然にまかせるか、せめて自分の庭の環境について経験を重ねるしかない。

背丈や色を考えて選んで植えても、同時に咲いてくれないと思いどおりにならない。想像だけ大きくふくらませて苗やタネ、球根を選んでいると、いつも同じ失敗をする。葉っぱが多い庭になってしまうのは、そんなことも理由の一つなのかもしれない。

今の家に引越しした時に、庭の記録ノートを作った。どこに何を植えてどうしたいのか、見取り図も書いた。庭を見て何か気付いた時、庭いじりをした時になんでもノートに書き留めた。その頃は、エンゲル係数ならぬエンゲイ係数がとても高い月が続いていたなぁ。

何度も作り直し、やり直しを重ねて、一昨年あたりから今の庭の姿に落ち着き、その頃からノートへの書き込みをあまりしなくなった。でも、新芽の動き出す時期、花の咲く時期、虫たちが元気に活動を始める時期は、今でもノートを開く。どんな園芸書よりも参考になる生きた記録。

ノートに書き込まれていない植物、ノートにはあっても庭からはなくなった植物が増えたことに改めて気付くこの頃。やっぱり『記録すること』をきちんと続けよう、と思う春だった。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

« March 2005 | Main | May 2005 »