シェイクスピアと歌舞伎
『NINAGAWA 十二夜』。
シェイクスピアと歌舞伎の2つの組み合わせが歌舞伎座で上演される! 演目発表があってからずっと心待ちにしていた。
シェイクスピアと歌舞伎といえば、1991年に新大久保の東京グローブ座で面白い公演があった。染五郎さんがハムレットとオフィーリアの二役をこなす歌舞伎の『ハムレット』と一緒に、浄瑠璃の『テンペスト』、狂言の『フォルスタッフ』が、シェイクスピアへの新しい試みとして上演されたのだ。3つのシェイクスピアは、歌舞伎、浄瑠璃、狂言にぴったりとはまっていた。
あのとき、シェイクスピアに登場する恋愛模様、怨念、復讐、思い違い勘違い、幽霊といったものは、歌舞伎のものたがりに登場するものとよく似ているんだなぁと気づかされ、小躍りしたいほどワクワクした。14年前のこのワクワクした感覚探しは、その後もわたしの趣味嗜好の方向性に色濃く残っているように思う。 (この3つ、ぜひもう一度再演してほしい)
当時のわたしはシェイクスピアの面白さに少しずつ目覚め始めたころで、東京グローブ座で上演される、英国の劇団のシェイクスピアものに足しげく通っていた。難しい古い英語の舞台に、見栄をはってイヤホンガイドなしに挑んでそのまま寝てしまったり、歴史ものに面白みをなかなか見出せず、ジーンズシートをはりきって確保しながら、『リチャードⅢ世』の台詞を子守唄に寝ほうけたり。そんな高い授業料を払い続けて得たのは、「シェイクスピアの喜劇って最高!」ということだった。
そして、7月の歌舞伎座公演は『十二夜』! シェイクスピア喜劇である。菊五郎劇団、特に菊之助さんの新たな挑戦としてシェイクスピアが選ばれ、蜷川幸雄さん演出が実現した。
鏡がはりめぐらされた舞台、ハープシコードの音楽、小さな子どもたちのキリシタン風コーラス、こまめにゆったり(やや、もったり)と交替する廻り舞台。ふだんの歌舞伎とは微妙に異なる舞台演出はもちろん面白いものであったが、なんといってもすばらしかったのは、脚本と、菊之助さん、菊五郎さん、左團次さん、松緑さん、亀治郎さんなどの役者陣だったと思う。蜷川さんらしさというのものは、わたしはよくつかみとれなかった。
歌舞伎に比して断然に台詞の量が多いために、全体的にはお芝居を観ているような箇所も多々あったとも思う。歌舞伎に姿を変えながらも、原作に実に忠実に書かれた脚本は、シェイクスピア喜劇の軽快なことば遊び、おかしみを、テンポそのままに生き生きと残していた。
以前、世田谷パブリックシアターで観た、野村萬斎さんの『まちがいの喜劇』もよかった。つくり手、演じ手がシェイクスピア・コメディ・ワ-ルドにすっぽりとはまり切っている。本物のシェイクスピア、本場で観るのと違わないシェイクスピアの真髄を堪能させてくれた。
今回も最高にハッピーな気分で歌舞伎座をあとにした。こんなにハッピーなシェイクスピア喜劇、なんだか久しぶりに観たような気がする。目にもまぶしい色づかい、奥ゆかしき和ことばといった歌舞伎らしさと、シェイクスピア・ワールドとの見事なマッチング。思い返すたびに、帰り道にふと、にやりとしてしまった。
6月のコクーン歌舞伎『桜姫』よりも、わたしにはしっくりなじんだような気がする。
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Comments
totoさま、TBとコメントをありがとうございました。
blogにそれぞれの役柄の日本名を見やすく記載してくださっているので、改めてその面白さをかみしめました!
東洋と西洋が出会った歌舞伎、またぜひ観たいですね。
Posted by: yasky | 05 August 2005 at 03:05
TBありがとうございました。 十二夜面白かったです。また東洋と西洋が出会った歌舞伎も見てみたくなりました。
Posted by: toto | 04 August 2005 at 01:00
とろさま
コメントありがとうございました。
そして、いきなりのトラックバックを失礼しました!
ほんとうにもう一度観たいですね。
上演が重なるたびにさらにこなれていくのも
観ていきたいですね。
また、blog、おじゃまいたしますー!
Posted by: yasky | 31 July 2005 at 13:01
TBありがとうございました。
私も観終わった後は、幸せな気分で銀座をうろうろしていました。もっと蜷川さんよりになっているのかなぁと思っていたんですが、歌舞伎の筋みたいなのはちゃんとしっかり通っていて。
また観たいなぁーと思わせてくれる「十二夜」でした。
Posted by: とろ | 31 July 2005 at 01:24