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09 October 2005

「舞」の歌舞伎

9月の歌舞伎は、今までとちょっと違う楽しみ方をした。新日屋さん企画による講座を歌舞伎座地下食堂で聞いてから、そのまま一階席で観劇。この企画は、歌舞伎座メールマガジンの告知で知ったのだが、違った視点を頂けるよい機会となり、舞台とともに大満足した。

講演者は青木房江さんで、イヤホンガイドの解説者としておなじみ。日舞の世界では、坂東流のお名取の名前「坂東勝芙紗」で知られている方だそうだ。私自身はイヤホンガイドをあまり使わない派で、さらに日舞にも詳しくないので、初めてそのプロフィールなどにふれるきっかけとなった。

講座では、青木さんが中学生の頃から日舞に真正面に向かって極めていらした道のり、その後の中村雀右衛門さん師事、イヤホンガイドを始められたきっかけなどのお話しを聞いた。9月は、雀右衛門さんの『豊後道成寺』を楽しみにチケットをとっていたので、まさにピッタリ!の内容。

『豊後道成寺』は浄瑠璃仕立ての道成寺で、8年ぶり、3回目の上演となる。今までに何度か『京鹿子娘道成寺』は観たことがあったが、この道成寺は初めて。古典復活の試みとして、雀右衛門さんが昭和57年に初めて踊ったものらしい。

唄と踊りだけのシンプルな舞台ながら、雀右衛門さんのかわいらしい清姫が、途中その様相を変貌させながら舞う姿に釘付けとなる。今年85歳になられる雀右衛門さんは、立っているだけでもしっとりとした女性らしさが醸し出され、踊る姿にはかわいらしさも艶もある。媚のない美しさ、女っぽさで、福助さんよりも私は好きだ。真の女性らしさとはこういうものなのだ、と改めて思った。

講座のなかで青木さんは、「舞踊とはからだで描くpoem」なのだと話された。そのお話しをそのまま実感できるような雀右衛門さんの『豊後道成寺』。「舞」の解釈で歌舞伎をもっと観ようという視点を頂いたように思う。

一緒に行った友人が事前に、演劇界の別冊『四世 中村雀右衛門の世界』を貸してくれたので、なんとも恵まれたお膳立てのうえでの観劇となった9月。さらに、9月は夜の部にもうひとつ必見の演目がある。やはり観ずにはいられまい。観れば観るほどにはまる歌舞伎の魅力なのである。

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