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22 December 2005

歌舞伎の楽しみ方 1

<目当ての演目に集中して楽しむ>

今年はコンスタントに歌舞伎を観た年だった。お芝居やコンサートなどのほかの舞台にも行くから、振り返ってみると毎月かなりの数を楽しんでいたんだなと思う。今年は仕事も結構忙しかった。仕事が忙しいときは、目当ての演目だけにはなんとか間に合うように歌舞伎座へ行く、ということも多かった。そういう見方もイイもんだ、と知った。

今日の予定は? と毎朝、家人と話す。今日は打ち合わせの後、夜は歌舞伎。ウフフ と言うと、キミも好きだねー、徹夜明けでよく元気だねと笑われる。確かにそうなんだけど、舞台に向かう時間が私にもたらしてくれる活力というのはとても大きくて、どんなに忙しいときでも歌舞伎などに通うことがやめられない。

今年の歌舞伎は、たまたま一階席の一列目がとれたりしたので、座る場所による楽しみ方の違いなども改めて実感しながら観れたように思う。今年も終わってしまいそうなので、今年後半の歌舞伎の感想をメモしておきたい。

九月の歌舞伎座 『勧進帳』

吉右衛門さんの『勧進帳』がすばらしいらしい。そんなことを友人から聞いたり、何かで読んだりしているうちに、やはり9月は夜の部も観なくてはいられない気持ちになった。昼の部の雀右衛門さんですっかり高揚してしまった感もある。

急いで松竹のサイトを見る。9月は旅行の予定もあるし、夕刻の打ち合わせも多いのでなかなか日取り設定が難しい。ということで、一つめの演目はあきらめて、勧進帳の始まる時間になんとか間に合いそうな千秋楽の席を確保した。

・・・・・・!!!

幕間に動けなかった、というのは初めての経験。それほどに吉右衛門さんの弁慶はすばらしかった。幕がひけて拍手をやめた瞬間に、お隣の知らないおばあさまと思わず手をとりあってしまいそうなほど、顔を見合わせて一緒にため息をついてしまう。

あたたく豪快な吉右衛門さんの弁慶には、三階席にまで伝わる気迫がある。気づいたら、私も弁慶の気持ちになりきって義経を隠し通すために無我夢中。たぶん、歌舞伎座に座っていたお客さまも皆、弁慶と同じ空気を発しながら舞台を食い入るようにみつめている、すごい一体感のある千秋楽だったのではないだろうか。

吉右衛門さんの弁慶とともに、富十郎さんの富樫がこれまたよかった。吉右衛門さんと富十郎さんは昼の部でも息の合うコンビだったが、この二人の組み合わせの勧進帳は、私にとって今までのベストかもしれない。

富樫という役は、今まで若めできれいな配役ばかり観ていた。なんだかのっぺり冷たい感じのする富樫。なぜ弁解を見逃したのかわからない。今ひとつ感情移入できなかった。

だが、富十郎さんの富樫は違う。弁慶の思い、義経の悲しい境遇をぐっと呑みこみ、見逃す富樫。動きやセリフが少なく、すっくと立つ姿。静かな静かな存在感のなかに人間味があふれていた。

ワイドショー的で申し訳ないのだが、私は富十郎さんを今まであまり好きになれなかった。かなり年の離れた女性と結婚し、子どもに恵まれた際の会見で、まだまだ二人目も・・・、という満面のおじいちゃん顔に生理的に気持ち悪いと思っていた(あぁー、失礼でごめんなさい)。

しかし、今はもう違う。富十郎さん万々歳だ。こんな方を魅了したずいぶん年下の女性とは、きっと特上で素敵なひとなんだろうなと思う。感動して動けなかった幕間の終わりごろにこんなこともぼんやり考えていた。

・東京新聞で、九月の『勧進帳』について話す吉右衛門さん
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/mei/20050827/ftu_____mei_____001.shtml

・渡辺保さんの『勧進帳』評
 http://homepage1.nifty.com/tamotu/review/2005.9-1.htm

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20 December 2005

色の印象

人を、アナログな感覚を持つタイプとデジタルな感覚を持つタイプに分けられるとすれば、たぶん私はアナログのほうだと思う。いや、間違いなく、そう。計算は苦手ではないけれど、でも数字を覚えるのは苦手みたいだし、円周率(3.14159265358979323846264338... これ以降は忘却!)も、何度も口にしながら音というか語呂みたいなもので覚えたような気がする。人のこともディテールより、空からひっぱられているみたいな気持ちのよい歩き方だとか、モソっとあたたかく動く感じとか、匂いとか、色みたいなもので記憶している。

そんな記憶の仕方をしていると、知り合いや友人を無意識に色分けしていることに気づく。それは、その人がよく着ている色というわけではなくて、種や球根の時から花の咲く色が決まっているのと同じように、その人自身が持っている色のようなもの。それがそのまま『似合う色』の人もいれば、まったく違う色が似合う人もいる。

imagefoto2なぜ、色のことなど考え始めたかというと、今、hikaru noguchi というブランドサイトできれいな色のマフラーを限定販売していて、日本でのその取りまとめをさせていただきながら、たくさんの毛糸の色に触れているから。ロンドンから大きなダンボールが届いたときに、箱の中からマフラーを一本ずつ取り出すたびに、私ならどれが一番似合うかな、あ、この色は誰々さんのイメージ! などと考えていた。

私の友人たちも何人か限定販売のマフラーを購入してくれた(ありがとう!)。悩んで悩んで色を決める友人、すぐに決断する友人とさまざま。そして私にとって面白く思えたのは、彼女たちが最終的に選んだ色。それらの色は、不思議と私が想像していたとおりの色にほとんど落ち着いた。

そのマフラーを身につけた友人たちにまだ会っていない。彼女たちらしい素敵なコーディネートで今ごろ街を歩いてくれているのかな、と想像がふくらむ。たくさんイメージをふくらませて、実際に彼女たちに会ったとき、私の中でふくらんだそれぞれの人の色の印象とどうシンクロするのかが今はとても楽しみ。きっと、また新たな色の印象につながるのだろう。

そして、ここからは宣伝です!

DSCF0337hikaru noguchi は、ロンドンをベースに活躍している日本人ニットデザイナー、ノグチヒカルさんのブランドです。ロンドンはもちろん、ニューヨークや香港など世界の都市で販売され、日本でもバーニーズなどのセレクトショップなどに並んでいます。やわらかく質のよい素材とともに、なんともいえない独特な有機的なきれいな色の重なりが魅力。

今回の限定販売は、hikaru noguchiのトレードマークのシャギースカーフ(マフラー)に、お揃いでバッグなどにつけて楽しめるチャームをセットにしました。スカーフの色は全部で12色の限定色で、そろそろ売り切れの色も出て残り僅かとなっています。

DSCF0124購入後、お手元に届いたお客さまからも、他にはない色使いが好きです! ヴォリューム感も色合いも素敵! 好評です! というような嬉しいメールを頂いて、大きな感動を味わせていただいています。こちらにも大感謝!

販売は、hikaru noguchi のwebサイトにて。http://www.hikarunoguchi.com/
自分自身へのクリスマスプレゼントにいかがでしょう?

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18 December 2005

台湾の味 3 『お茶の味』

台湾の味の3つめは、遅ればせながら知った、すばらしき台湾茶の味。

DSCF0494今まで、中国茶に関してなんて無関心だったのだろう。

紅茶は好きで、複数の銘柄の複数の種類の缶を並べている。日本茶も緑茶、ほうじ茶、玄米茶(大したこだわりを持たず)と一応は常備している。おなかが痛いときに飲むハーブティもある。家人がコーヒー好きなので、豆も何種類かある。しかし、ジャスミン茶に茉莉白龍珠を選ぶ程度で、中国茶については特に意識したこともなかった。

今回、台湾式工夫茶の魅力とおいしさに触れることができ、開眼されて帰ってきた。そう、すっかりはまってしまった。いろんな本やサイトを見ていると、茶藝館ブームというのが何年か前にあったのだそうな。まったく気づかないでいるうちにブームは終了し、今ごろ感を漂わせながら、マイブームが始まった。

去年ももちろんお茶請けの梅や凍頂烏龍茶を購入して帰ってきた。どうして今年は、特にその魅力のとりこになってしまったのだろう? その理由は、飲み方だろうか。去年にくらべて今年はだいぶ余裕のある旅程で、九イ分(にんべん に分)と台北の茶藝館でのんびりとお茶を飲みながら、お茶の淹れ方を含めたゆったりした時間の流れを楽しんだ。

DSCF0713ガイドブックやサイトで紹介されている茶藝館の中から、気になるいくつかをピックアップし、めぼしをつけた2軒の茶藝館を目指す。中華テレビ近くの国父紀念館駅で地下鉄を降りて歩きはじめるが、どんなに行ったり来たりしてもみつからない。初めて空港に降り立ったとき、植えられているトロピカルな植物に、台湾は熱帯なんだと認識したことを思い出す。ギラギラの太陽とアスファルトの道路にはさまれて、お茶なんかもうどうでもいいから帰りたいという気持ちになってくる。

すれ違う人に地図と茶藝館の写真を見せて尋ねると、目指していた茶藝館はどちらも閉店したと身振り手振りで教えてくれた。台湾も何年か前に茶藝館ブームというものがあったらしい。そのブームが少し落ち着いたこのごろは、閉店してしまった茶藝館も多いという(お出かけ前にサイトなどを駆使してしっかり確認することをおすすめする)。暑さに参り、タクシーに乗って紫藤蘆に向かうことにした。

紫藤蘆は、古い木造の日本家屋の茶藝館で、テーブル席と気持ちのよい屋外の席とともに、奥には畳のお座敷もある。畳の部屋で壁にもたれて、足を伸ばしながら何時間も好きなお茶を飲む。あっちの角では、営業マン風の男性がひとりでノートに向かっている。彼は、my 茶葉持参の様子。館の女性が、大きな壺に活けた花をああでもないこうでもないと、挿しなおしている。・・・心地よくゆっくり流れる時間。

紫藤蘆で使われているお水は、高い高い山の湧き水だと、館の女性が最初の一杯を淹れながら話してくれた。お湯を口に含むとまろやかな甘い味がする。アルコールランプでシュンシュンと沸かして、大切に淹れる一杯。鼻を抜けるすがすがしい香り。ふわっと満たされるような感覚に幸福感を覚えて彼女の目を見たら、彼女も“ね、わかるでしょう?”とうなずいているように感じた。

DSCF0708茶藝館や、茶葉屋さん、茶器屋さんを訪ねると、どの人もお茶が本当に好きなんだなぁと伝わってくることがこのうえない快感だった。小龍包で有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)から歩いてすぐの興華名茶。ここは無農薬の茶葉にこだわりを持つ茶葉屋さん。お店の30代の男性(たぶん次男さん)がお茶を淹れてくれたのだが、聞香杯から茶杯に移してお茶を飲んでいる私たちに、何度も何度も茶壺の蓋の香りをかがせてくれる。お茶を淹れてすぐ、少し置いてから、完全に蓋が乾いてから。そのたびに自分の鼻にも押し当てて恍惚とした表情をする。本当にお茶が心から好きなんだ。。。

味見をさせていただきながら、凍頂烏龍茶を2階級、文山包種茶、金萱茶、木柵鉄観音、 紅菊花牡丹茶、茉莉香片茶を少量ずつ購入した。昨年もここで凍頂烏龍茶を買ったんですよ、と話したら、びっくりするほど喜んだ。そして、ホテルの部屋で飲んでくださいと、無農薬の高山茶のティバッグをたくさん紙袋に詰め込んでくれた。今度行くときもきっと顔を出して、このお兄さんからお茶の説明を受けながら大切に味見をして購入したい。

DSCF0498おいしい茶葉を手に入れたら、やはり次にほしくなるのが茶器。もともとティーカップ好き&お買い物好きな私。いろんな焼きのいろんな模様と色の茶壺や茶杯が欲しくなるに決まっているとわかっていたので、欲張り禁物!と台湾に着いたときから決めていた。お財布の紐をギューッと絞めていたはずなんだけど・・・。

まず手始めに超々リーズナブルに道具をそろえたいなら、士林夜市や龍山寺近くがおすすめ。士林夜市の駅近くの通り沿いに100元から茶壺を扱っているお店がある。茶器を扱う狭い間口のお店が二軒並んでいるが、奥のほうが変な彫りをほどこしていないシンプルな形の茶壺がたくさんある。龍山寺駅から西園路二段を南下する道沿いにも、茶壺がぞんざいにカゴに入って売られている(ちょっと汚れている感じだった)。

きれいに並べられたクオリティ高い茶器をゆったりと見たいなら、シェラトンの地下の茗泉堂茶荘がおすすめ。たいへん高価な作家ものとともに、リーズナブルなものもあるので、安心して入って大丈夫。最初に全部そろえることはないの。家にある使えるものは使って、好きなものを少しずつそろえればいいの。と話してくれた店主の葉さんが本当に好印象。渋谷南平台のお宅と台湾で交互に生活をしているそうで、以前は青山に茶藝館も開いていたそうだ。上品な葉さんが大切に集めて扱っていらっしゃる茶器たちを見せていただくのだという気持ちを忘れないで、お店の中でふるまうことを忘れずに。もし、台湾に住む機会があったら、足しげく通ってしまうだろうな。

シェラトンの裏には、夜12時までやっている徳也茶喫もある。他の茶藝館では見られないようなお茶菓子が充実していて、茶器もある。その並びの何軒か先にも茶器屋さんがあるし、お茶好きの方はシェラトンに宿泊するとよいかもしれない。

DSCF0187帰ってきてから、お気に入りの茶器を使ってさまざまなお茶を1煎目、2煎目、3煎目・・・の水色と味、香りを楽しみながら味わっている。お茶とともに、まりなちゃんの本で絶賛されていた沁園の茶梅や台湾産のドライマンゴー、餐後梅をつまむ。台湾茶に関する本もサイトもオンラインショッピングも実に充実していて、日本にいてもかなり楽しめることもわかった。台湾茶の頒布会もある! 気になる茶藝館が都内にもいくつかある! 今は本を少しずつ読み進めながらお茶の味を知り、茶藝館をひとつひとつ順番に訪ねることを楽しみに、次回の台湾行き計画が早くも気になっている。

養壺。繰り返し茶壺でお茶を入れ、丁寧に手入れを重ねることで、茶壷には美しい光沢が生まれるという。長年大切に使われてきた茶壺は、茶葉なしでお湯を入れるだけでも、お茶の香りがするそうだ。あせらずゆっくり長く丁寧に。そんな気持ちで台湾茶とこれからもずっと接していきながら、台湾や中国の歴史についてもっと知りたい。そんな新しい興味を生んでくれた、すばらしき台湾の旅だった。

写真で紹介! 台湾 3 (写真をクリックすると大きくなります)

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侯孝賢監督の『非情城市』で有名な九イ分(にんべん に分)。1年のうちほとんどが雨というところなのに、抜けるような青い青い空が広がる一日だった。台北から列車で50分ほど+バスで行く。山の斜面をバスで上がりながらの風景も美しいし、細く長い階段が続く街も美しい。ノスタルジーがたくさんつまったところ。

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小龍包で有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)。日本のお店と同じ食べ方説明書が置いてある。もち米シュウマイ、空芯菜炒め、ちまきもおいしい。昨年初めて台湾の鼎泰豊で食べた小龍包には感動した。でも、今年は口いっぱいに熱々に広がる肉汁がなく、かなりがっかりの味だった。リベンジに帰国後二子玉川に食べに行ったら、今年の台湾の小龍包よりおいしかった。左が去年、右が今年。やっぱり見た目でもわかるほどに皮と肉汁の関係が・・・。蒸しあがってからテーブルに運ばれるまでの時間が鍵のようだ。

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お店に入ってすぐのところで作っている度正月の担仔麺。その右は好記担仔麺の担仔麺。エビのだしがしっかりきいたスープに細い麺に肉そぼろ。小さめだから軽く食べられてしまう。一番右は、阜杭豆漿の豆漿。あたたかくほの甘ーい豆乳に油條(揚げパン)を浸して朝ごはん。おいしかったー。

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チェーン店なので、台北のあちこちで出会う苦茶之家。黒いお茶は36種の漢方の材料が入っているらしい。初めて口にしたときは、苦くてもうダメと思ったのに、添えられて出てくる白い丸い粒と一緒に我慢して飲んでいると、だんだん慣れてくる。一緒に行った家人はどうも癖になったらしく、去年も今年もグイグイ飲んでいた。他にも白キクラゲややわらかく煮た蓮の実、タロ芋などをのせたかき氷もある。これはおいしいし、お肌に良さそう。

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東區粉圓の台湾の伝統的なカキ氷。タピオカや仙草ゼリーなど、好きなトッピングを選べる。暑い台湾でのおいしいデザート。一番右は、冰館 Ice Monster のマンゴーかき氷。ふたりで食べてやっとの大きさ。たっぷりのマンゴーは台湾産。ここでも台湾はトロピカル・アイランドなのだと再認識する。このお店は大阪に何店舗かあるみたい。

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ホテル選びはその旅行の良し悪しを決めるひとつの要素だと思う。去年は、台北晶華酒店(Grand Formosa Regent Taipei)に泊まった。バスルーム、居室もゆったりと広くいいホテルだった。中山駅からも近くて便利なロケーション。どこに行くのにタクシーを使ってもたいした料金にならない。

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去年、空港から市内に向かうバスから見えた圓山大飯店(The Grand Hotel)。丘の上に立つ巨大な中国風の建物に圧倒された。やっぱり一度は泊まっておこうかということになった。到着した日は中秋の名月。ホテル前の広場にたくさんの風船が飾られた特設会場ができて、たくさんの人が集まっている。茗泉堂茶荘の葉さんによると、中秋の名月には月餅を食べるそうで、台湾の月餅はとてもおいしいのだそうだ。
圓山ホテルは分厚い建物なので、窓なし部屋が存在する。格安ツアーでこのホテルに泊まる方は、事前によく確認することをおすすめする。私は基本的にツアー旅行はしないので、航空券とホテルを別々に予約することが多い。インターネットとは本当に便利なツールで、安くホテルを予約できるサイトがたくさんみつかって、詳細をじっくり比べてから予約できる。今年、圓山ホテルを予約したのはココ(たぶん台湾の方が運営している)。デラックスルーム、グランドデラックスルームにグレードアップして、街側のテラスのある部屋を指定してもだいぶリーズナブル。

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圓山ホテル内のレストラン金龍庁で。新館の山側に大きな窓のあるレストラン。お天気がよく明るい室内。外には深いグリーン。遠くに松山空港が見える本当に気持ちのよいレストラン。
圓山ホテルは足の便があまりよくないので、短い滞在中にできるだけいろいろ楽しみたい旅行者には不便。もののためしに一度は泊まるか、食事だけに一度訪れるのでよいかもしれない。
(左上の写真のお酢がほんのり紅くてきれいだった。)

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地下鉄圓山駅を通る淡水線の北のターミナル駅、淡水。きれいな夕焼けが見えるので、夕方訪れるのにぴったりな場所。日没後は海沿いをのんびりと歩くことができる。
台北中正空港に日本から入るとき、帰るときは淡水の上を飛ぶ。一番右の写真の空の中で光っているのが飛行機。海沿いの景色の中に見えた橋が、帰りの飛行機の中からも見えた。

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16 December 2005

台湾の味 2 『人のぬくもりという味』

台湾の味の2つめは、旅先で出会って嬉しく思った 素朴な人 の味。

DSCF0124基隆の屋台でテーブルにつき、注文したメニューを心待ちにしていると、ウキウキとはしゃぐ女の子たちの声とともに、熱い熱い視線がとんできた。ふと顔をあげると、女子高生4人がこちらをちらちらと見ながら盛り上がっている。話しかけたいけど話せない・・・。そんな様子でキャーキャーと声をあげている彼女たち。

テーブルにやってきたお皿が空になっても、彼女たちはまだ私たちに熱い視線を注ぎながら立っていて、そのうちのひとりが意を決したように近づいてきた。『ワタシタチハ、○○高校○年生デ日本語ヲ勉強シテイマス。アナタハ日本人デスカ?』 彼女たちのもどかしい日本語の様子を見て、屋台の中で腕をふるっていた、清水ミチ子似のお姉さんまで『通訳します!』と飛び出してきた。

アジアの国々での日本の嫌われぶりが哀しい最近のニュース(そういえば、夏に泊まりに来たデンマーク人の友人にもそのあたりを結構さされたっけ)。小泉さんが首相になってから、毎年アジアの国の行き先や時期を選ぶとき、多少慎重な気持ちにならざるを得ないことを実感している。それだけに、日本人というだけで目を輝かせて話しかけてくれる女子高生たちの素直な気持ちがありがたいほど嬉しく思えた。

台湾も、日本に統治された歴史がある。中国との関わり方とは少し違うが、それでも同じように嫌われていてもしょうがないのかな、とも思える。けれども、台湾で会う人々は、素朴でやさしいシャイな笑顔を誰でも私たちに向けてくれたように思う。

西門近くで、肉ちまきのおいしいお店を探してキョロキョロと歩く私たちに、声をかけてきた自転車のおじさん。無事お店について、テーブルでちまきをほおばっていたら、窓越しにさっきの笑顔が見えた。私たちがちゃんとたどりついたか、確認しに来てくれたらしい。思わず嬉しくて手をふってしまった。

DSCF0124最終日、チェックアウトをしている相棒を待ちながらロビーに腰掛けていると、ふんわりとローズマリーの香り。紙に包んだ草花を持った中年の女性が隣のソファに座っている。私が香りに気づいたのを見て、“匂った?ごめんなさいね” という素振りで席を立つので、“ううん、好きな香り。ローズマリーですね”と私もジェスチャー交えて声をかけた。
 
ニコニコと満面の笑顔で、彼女は自分のバッグにつけていたお守りをはずし、連絡先を書いたメモとともに手渡してくれた。空港行きバスの出発時間がせまっていた私はきちんとお礼も言えないまま、別れを告げる。バスに乗って手の平の中にあるお守りを見て、嬉しいような困惑するような気持ちの自分に気づく。どうしてこんなふうに親切してくれるの?目的は何? と理由を探している私。頂いたお守りを素直にお守りとして持てずにいる自分がいる。私って人づきあいの感覚がいつのまにか、すれてしまっている?

DSCF0160去年も同じような感覚を持ったことがあった。龍山寺近くで、元祖胡椒餅めざして歩いていたときのこと。あの小さな路地を右に曲がれば胡椒餅!とワクワク歩いていたら、声をかけられた。“胡椒餅でしょ? あそこのもここのも同じものだよ!”という素振りで伝えてくる。

“いやいや、だまされてはいけない。便乗商法だワ”と苦笑いを浮かべて、彼らの前を通り過ぎた私は路地を右へ。路地の先にあったのは胡椒餅を作る工場だけ。購入するのは、さきほどの彼らの場所だった。

旅先でだまされたくないという気持ちが大きくふくらんでいる私。なんてすれているんだろうと恥ずかしく哀しく思っていたはずなのに。今年もまた同じような思いをしてしまった。

台湾って、人づきあいという点ですれていない人が本当に多い。。。
韓国では、積極的であたたかいホスピタリティ、台湾ではシャイで素朴なほのあたたかい人の味にぐっと来ることが多かった。旅で日本を訪れる外国の人々に、日本人はどんな印象を残すのだろう。

写真で紹介! 台湾 2 (写真をクリックすると大きくなります)

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  • いつもたくさんの人たちが祈りをささげている龍山寺。日本のお参りの仕方とは違うスタイル。お供え物もお寺の装飾もとてもカラフルで華やか。龍山寺の地下鉄の駅は今年の夏に新しくなり、地下街もできた。顔のうぶ毛抜き(二本の糸ではさんで抜く)、マッサージをしてくれるお店もある。
  • 台湾のタクシーの運転手さんは、運転席まわりをかなり派手に自分好みに飾っている。この運転手さんは大きな百合のアートフラワー。
  • 「臭豆腐」と大きくPRされたバス。ちょうど、都バスのラッピングバスといったところ。
  • 派手な犬の絵が描かれた路線バス。

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  • 龍山寺駅の地下街オープンを告げるアドバルーン。なつかしい光景。
  • 龍山寺周辺はかなり下町っぽい雰囲気。これは八百屋さん?薬草屋さん?すきまからのぞく、人のよさそうなおじさんの顔。
  • 迪化街(ディーホワチエ)のカラスミ屋さんの店先。迪化街は乾物、漢方などの卸問屋がずらりと並ぶ。お料理や食べることが好きな人にはとっても楽しい場所。古い建築物を見るのもおすすめ。すぐ近くに布やビーズなどの卸街もある。おすすめサイトはやはりココ
  • お箸の大きさに比べて、お魚が小さすぎない?という看板。いったい何屋さん?

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  • 迪化街にいたりっぱなニワトリたち。食関連卸問屋にいる彼らの運命は・・・?
  • 淡水(地下鉄淡水線の北の終点)に行ったときに見た迷い犬の貼り紙。健太郎という名前の秋田犬。もしかしたら、飼い主は日本人?
  • 龍山寺の近くで見た迷い犬の貼り紙。謝礼金を払うと書いてある。龍山寺公園でいなくなったらしい。もうみつかったかな。
  • 基隆にいた猫。

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  • しっかり番犬中。ドアに近づこうとしただけで吠えられた。お客さんが入れませんヨ。
  • バイクでお散歩中。まだまだ子犬。かわいい。
  • かわいい顔のワンちゃんなので近づいたら、かなり怖い声で吠えられた。よく見たらお食事中でした。ごめんネ。

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  • 士林夜市のペットショップの前で。ミニシュナの赤ちゃん。女性のペンダントが台湾っぽい。
  • ブタさんも飼われていた! つま先立ちで寄ってきた。
  • 夜市までバイクに一緒に乗ってきたワンちゃん。台北の幹線道路でも、バイクに不安定に一緒に乗っているワンちゃんを見かけて落ちないか心配だった。

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  • 台湾のポスト。この大きさが2色並ぶと街なかで目だつ。
  • 九イ分の警察署脇の壁についていた電話。簡素・・・。
  • 九イ分の家のポスト。

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  • シュウウエムラって漢字でいきなり書かれているとピンと来ない。化粧品関連のPR看板は結構多かったが、昨年見た、ハーバル・エッセンス(シャンプー&コンディショナー)のPRはかなり笑えた。香りのよいハーブが女性の鼻にささっているようなヴィジュアル。商品イメージと乖離し過ぎ!

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14 December 2005

台湾の味 1 『夜市の味』

9月に台湾に行った。去年の8月が初めてだったので、まだ2度目なのだが、いろんな意味ですっかりとりこになって帰ってきた。はてさて、何がそんなに私を台湾のとりこにさせてしまったのだろう。台湾の3つの味について書きたい。

1.夜市の味

DSCF0553アジアの旅の楽しみのひとつに夜市がある。台湾には、夜になると食べ物屋さんの屋台がずらりと並ぶ通りがいくつかある。まだまだそのほんの一部にしか行ったことがないのだが、活気とヴァラエティに富んだ食はすでに十分に楽しめている気持ちになっている。

台湾の屋台のよいところは、ひと皿が小さめなこと。屋台で夕食をすませるつもりなら、本当にいろいろなものを味わうことができる。今年は台北の夜市とともに、有名な基隆の夜市にも足を伸ばしてみた。(写真は基隆の夜市)

日中は、『非情城市』で有名な九イ分(にんべんに分、クーフン、チュイフェン)に行き、帰りにバスでそのまま基隆に出た。海に面した古い港町、基隆。屋台の人の話しでは、長崎と雰囲気が似ているという。

基隆の屋台は、お店の人が皆お揃いの黄色いエプロンをつけ、お店の脇には統一されたゴミ箱が完備され、出店しているお店に番号がふられて、かなりオーガナイズされている印象。どのお店も清潔、おいしく安心して食べられるように感じる。

DSCF0547今回の私の屋台の味ベストワンは、写真の大麺炒(お店番号は40番)。おそらく、店先にたくさんボトルが並べられていた調味料を用いて、太めの麺と青菜を炒めたひと皿。ご覧のとおり、あまり味に期待できそうな見かけではないのに、おなかがいっぱいでもう食べられなーいと言っていたのはどこへやら。おいしくてあっという間に平らげてしまった。

またもや食べるのに夢中だった私は、肝心なその調味料についてメモをとるでもなく、写真をとるでもなく、帰ってきてしまった。今度台湾に行く際も、必ず基隆のこの屋台に出かけて、調味料を見て来なければと思っている。

(台湾で食べたものたちを、ひとつずつここで丁寧にお店紹介も兼ねて書こうと思っていたら、あっという間に4ケ月が過ぎてしまっていた。年を越してしまいそうなので、欲張り食べ物記は以下の写真にて!)

写真で紹介! 台湾 1 (写真をクリックすると大きくなります)

<士林夜市>

台湾の夜市といえば、ここははずせない。食べ物関連の屋台が集まっているところ、たくさんのお店がひしめく通りが何本も交差しているところの大きく2つの地域がある。今年は到着した日が中秋の名月だったので、士林夜市のお店も早めに閉店し、皆が店先でバーベキューを楽しんでいた。

士林夜市の情報はココが一番! プリントアウトして出かければ目当てのものはだいたい食べつくせます! (でも、私は仏もぶっ飛ぶ、ぶっとびスープをまだ食べていません。。。)

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牡蠣入りふわふわ玉子焼きや、ワンタン、お肉をお米の粉で包んで揚げたお饅頭(肉圓、バーワン)をはさみでブチブチと切ってタレをかけたもの、私は食べられなかった臭豆腐、お米の粉でえびを包んで蒸したものなどなど。どれも小さなひと皿なので、ひと晩に全部食べられてしまう。

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スイーツ編。トッピングを自分で選んで載せてもらえるパオピン(かき氷)は、フルーツ以外にわらび餅、芋だんご、豆花までトッピング! ビッグなマンゴーかき氷は二人でやっと食べきれる大きさ、あずき味のパオパオピンはもっちりシェイクのよう。蛙の卵と書かれたギョッとするデザートは、黒タピオカの入ったドリンク。

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食べ物、洋服、雑貨のお店だけでなく、本格的なゴーカートが楽しめるゲームセンターのようなところや、占いコーナー、ペットショップ、耳そうじ屋さん(火を灯したローソクを耳の穴に立てている。写真をとったらお店の人にすごい剣幕で怒られた)、写真館(これも笑える演出!)、スタジオ(その場で歌ってCDを作ることが出来る)などなど、夜じゅう遊び通せるほどにさまざまなアミューズメントがぎっしりつまっている。

<寧夏路夜市>

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台湾ビール、えび炒飯、棒餃子、魯肉飯(ルーロンファン)。最寄り駅は雙連駅で歩いて10分。中山駅も夜風に涼みながら、腹ごなしをかねて歩ける距離。長居すると動物の肉くささと脂の匂いで私はウップとなる。ここのすぐ近くに豆花のおいしいお店(古早味豆花)があるので、そこ目当てに行くだけでも価値あり。

<パイナップルケーキ> おまけ

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台湾土産としてよく知られているパイナップルケーキ。作っている会社もいくつかある。その中から3つを食べ比べてみた。写真は、外側パッケージ(上段)と中身のケーキ(下段)。基隆の有名なパイナップルケーキの店にも行ったのだがあいにく定休日で入手できず。

  • 左:李儀餅店。九イ分で通りがかったお店に売っていたもの。2つだけと少量購入の私たちのために、奥から焼きたてをわざわざ出してきてくれた。台湾の人らしい心づかいにほころんだ。味は普通。

  • 中:萬通食品。あるガイドブックでグランプリになっていた。パイナップル餡もたっぷりで外側の生地も分厚く、食べ応えもあって風味もよい。萬通食品のパイナップルケーキは空港の免税店でしか購入できず、価格も高め。地元の人に愛されていてこその台湾土産と考える私には、空港でしか買えないものはグランプリにはできないなぁ・・・。

  • 右:李家大房。これも基隆で有名なお店のものだが、台北市内にもお店がある。買い物に行くと、地元の人たちが次々と大量に購入していく。餡が少なめで小さいのだが、香料を感じない素朴な味わいで私はこれがグランプリだと思っている。

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