台湾の味 2 『人のぬくもりという味』
台湾の味の2つめは、旅先で出会って嬉しく思った 素朴な人 の味。
基隆の屋台でテーブルにつき、注文したメニューを心待ちにしていると、ウキウキとはしゃぐ女の子たちの声とともに、熱い熱い視線がとんできた。ふと顔をあげると、女子高生4人がこちらをちらちらと見ながら盛り上がっている。話しかけたいけど話せない・・・。そんな様子でキャーキャーと声をあげている彼女たち。
テーブルにやってきたお皿が空になっても、彼女たちはまだ私たちに熱い視線を注ぎながら立っていて、そのうちのひとりが意を決したように近づいてきた。『ワタシタチハ、○○高校○年生デ日本語ヲ勉強シテイマス。アナタハ日本人デスカ?』 彼女たちのもどかしい日本語の様子を見て、屋台の中で腕をふるっていた、清水ミチ子似のお姉さんまで『通訳します!』と飛び出してきた。
アジアの国々での日本の嫌われぶりが哀しい最近のニュース(そういえば、夏に泊まりに来たデンマーク人の友人にもそのあたりを結構さされたっけ)。小泉さんが首相になってから、毎年アジアの国の行き先や時期を選ぶとき、多少慎重な気持ちにならざるを得ないことを実感している。それだけに、日本人というだけで目を輝かせて話しかけてくれる女子高生たちの素直な気持ちがありがたいほど嬉しく思えた。
台湾も、日本に統治された歴史がある。中国との関わり方とは少し違うが、それでも同じように嫌われていてもしょうがないのかな、とも思える。けれども、台湾で会う人々は、素朴でやさしいシャイな笑顔を誰でも私たちに向けてくれたように思う。
西門近くで、肉ちまきのおいしいお店を探してキョロキョロと歩く私たちに、声をかけてきた自転車のおじさん。無事お店について、テーブルでちまきをほおばっていたら、窓越しにさっきの笑顔が見えた。私たちがちゃんとたどりついたか、確認しに来てくれたらしい。思わず嬉しくて手をふってしまった。
最終日、チェックアウトをしている相棒を待ちながらロビーに腰掛けていると、ふんわりとローズマリーの香り。紙に包んだ草花を持った中年の女性が隣のソファに座っている。私が香りに気づいたのを見て、“匂った?ごめんなさいね” という素振りで席を立つので、“ううん、好きな香り。ローズマリーですね”と私もジェスチャー交えて声をかけた。
ニコニコと満面の笑顔で、彼女は自分のバッグにつけていたお守りをはずし、連絡先を書いたメモとともに手渡してくれた。空港行きバスの出発時間がせまっていた私はきちんとお礼も言えないまま、別れを告げる。バスに乗って手の平の中にあるお守りを見て、嬉しいような困惑するような気持ちの自分に気づく。どうしてこんなふうに親切してくれるの?目的は何? と理由を探している私。頂いたお守りを素直にお守りとして持てずにいる自分がいる。私って人づきあいの感覚がいつのまにか、すれてしまっている?
去年も同じような感覚を持ったことがあった。龍山寺近くで、元祖胡椒餅めざして歩いていたときのこと。あの小さな路地を右に曲がれば胡椒餅!とワクワク歩いていたら、声をかけられた。“胡椒餅でしょ? あそこのもここのも同じものだよ!”という素振りで伝えてくる。
“いやいや、だまされてはいけない。便乗商法だワ”と苦笑いを浮かべて、彼らの前を通り過ぎた私は路地を右へ。路地の先にあったのは胡椒餅を作る工場だけ。購入するのは、さきほどの彼らの場所だった。
旅先でだまされたくないという気持ちが大きくふくらんでいる私。なんてすれているんだろうと恥ずかしく哀しく思っていたはずなのに。今年もまた同じような思いをしてしまった。
台湾って、人づきあいという点ですれていない人が本当に多い。。。
韓国では、積極的であたたかいホスピタリティ、台湾ではシャイで素朴なほのあたたかい人の味にぐっと来ることが多かった。旅で日本を訪れる外国の人々に、日本人はどんな印象を残すのだろう。
写真で紹介! 台湾 2 (写真をクリックすると大きくなります)
- いつもたくさんの人たちが祈りをささげている龍山寺。日本のお参りの仕方とは違うスタイル。お供え物もお寺の装飾もとてもカラフルで華やか。龍山寺の地下鉄の駅は今年の夏に新しくなり、地下街もできた。顔のうぶ毛抜き(二本の糸ではさんで抜く)、マッサージをしてくれるお店もある。
- 台湾のタクシーの運転手さんは、運転席まわりをかなり派手に自分好みに飾っている。この運転手さんは大きな百合のアートフラワー。
- 「臭豆腐」と大きくPRされたバス。ちょうど、都バスのラッピングバスといったところ。
- 派手な犬の絵が描かれた路線バス。
- 龍山寺駅の地下街オープンを告げるアドバルーン。なつかしい光景。
- 龍山寺周辺はかなり下町っぽい雰囲気。これは八百屋さん?薬草屋さん?すきまからのぞく、人のよさそうなおじさんの顔。
- 迪化街(ディーホワチエ)のカラスミ屋さんの店先。迪化街は乾物、漢方などの卸問屋がずらりと並ぶ。お料理や食べることが好きな人にはとっても楽しい場所。古い建築物を見るのもおすすめ。すぐ近くに布やビーズなどの卸街もある。おすすめサイトはやはりココ!
- お箸の大きさに比べて、お魚が小さすぎない?という看板。いったい何屋さん?
- 迪化街にいたりっぱなニワトリたち。食関連卸問屋にいる彼らの運命は・・・?
- 淡水(地下鉄淡水線の北の終点)に行ったときに見た迷い犬の貼り紙。健太郎という名前の秋田犬。もしかしたら、飼い主は日本人?
- 龍山寺の近くで見た迷い犬の貼り紙。謝礼金を払うと書いてある。龍山寺公園でいなくなったらしい。もうみつかったかな。
- 基隆にいた猫。
- しっかり番犬中。ドアに近づこうとしただけで吠えられた。お客さんが入れませんヨ。
- バイクでお散歩中。まだまだ子犬。かわいい。
- かわいい顔のワンちゃんなので近づいたら、かなり怖い声で吠えられた。よく見たらお食事中でした。ごめんネ。
- 士林夜市のペットショップの前で。ミニシュナの赤ちゃん。女性のペンダントが台湾っぽい。
- ブタさんも飼われていた! つま先立ちで寄ってきた。
- 夜市までバイクに一緒に乗ってきたワンちゃん。台北の幹線道路でも、バイクに不安定に一緒に乗っているワンちゃんを見かけて落ちないか心配だった。
- 台湾のポスト。この大きさが2色並ぶと街なかで目だつ。
- 九イ分の警察署脇の壁についていた電話。簡素・・・。
- 九イ分の家のポスト。
- シュウウエムラって漢字でいきなり書かれているとピンと来ない。化粧品関連のPR看板は結構多かったが、昨年見た、ハーバル・エッセンス(シャンプー&コンディショナー)のPRはかなり笑えた。香りのよいハーブが女性の鼻にささっているようなヴィジュアル。商品イメージと乖離し過ぎ!
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Comments
ひとつの国の中にも、
さまざまなの考えを持った人々が
たくさん住んでいるので、
一概に国単位で話すのは危険かもしれませんね。
韓国や中国に滞在している友人の日本人が
最近すこーし哀しい思いをしたという話を聞いたりもしています。
でも、小泉さんは一個人としての行動でなく、
自分の行動=日本の首相としての行動
と世の人々にはうつるのだということを
もう少し認識してもらえたらいいなと思います。
韓国の映画のブラザーフッドとか、
台湾の映画の非情城市とか、
香港の映画のマッスルモンク(B級でゴメン!)を見ると、
日本軍のしたことがアジアの人々の心の奥底に残したものに
ついて、複雑な心情になります。
やはり、私たちは知らないことが多すぎるのかもしれません。
過去のこといつまでも償えというのもしんどいけどネ。
Posted by: yasky | 17 December 2005 12:18
ご無沙汰です。
台湾に行かれたんですね。
日本人はコミュニケーション下手だと言われるけど、
もっと被害者に配慮した謝罪とかをして、
友好的な関係を築いてほしいですよね。
嫌われるのは嫌です~
ブタちゃんの写真、かわいい('-'*)
Posted by: mina | 16 December 2005 12:12
台湾に反日感情?そんなものは無いですよ。
基本的に日本陸軍が占領政策を取った国と
日本海軍が占領政策を取った国は、日本への感覚が異なります。
日本海軍の統治した台湾は極めて親日的な国ですよ。
パラオなんかの南洋諸島の国々も非常に親日的です。
今の記述は比較的言われていることですが、
私はアジアの国を沢山訪れていますが、
反日感情というのは庶民のレベルでは皆無と考えていいと思います。
インドネシア、タイ、マレーシア、台湾、インド・パキスタンなどは極めて親日です。
心配なのは中国・香港と韓国でしょうか?
韓国は言ったことはないのですが、
中国は30台以下では反日感情はほとんど無いと思います。
要は政府・マスコミにやられているだけです。
韓国はかなり反日がきつくて大変と聞きますが
行った事がないので正確にはわかりません。
Posted by: Matthew | 16 December 2005 08:17