くいしんぼ
最終日の土曜日。先週買い損ねたものがあったので、朝からポートベローへ出かけた。ひととおり買い物が済むころに、おなかがすいて電池切れになりそうになり、“book for cook”で早めのランチ。ここは、料理関連の本ばかりを集めた小さな本屋さんで、奥に小さなカフェがある。
おいしそうなホームメードのケーキがずらりと並んでいて、そちらにもかなり心を奪われたが、スープランチをオーダーする。豆とパンチェッタのスープに、ガーリックのきいたブルスケッタが添えられていて、どちらもとてもおいしい。今日も冷たい雨で朝が始まったので、あたたかくて濃度のあるスープを口に運ぶたびにからだがあたたまるのを感じて心地よい。ひとりでテーブルに着く私には、「おいしい?」と声をかけに来てくれるお兄さんの笑顔も嬉しい。
その後、Tate Modern にやはり行きたくなったので向かうことにする。セント・ポールまでバスで行き、ミレニアム・ブリッジを渡るコースにしよう。
月曜日がバンクホリデーの3連休のせいか、雨が降っているためか、企画展示に人気があるのか、Tate Modern は驚くほど混んでいる。カフェは行列しないと入れないほど。ここではお茶を飲むのはあきらめて、上階まで行って順々に見ながら降りてきた。(写真は Tate Modern から見たセント・ポールとミレニアム・ブリッジ。雨で曇って全体がなんとなくモノトーン。雨に濡れるのはイヤだけど、こうして見ると雨のロンドンもいいもの)
そのまま川沿いを歩いて、シェイクスピア・グローブへ寄る。帰りは違う方法で帰ろうと思って進んでいくうちに、Borough Market に到着したので、ちょっとのぞいてみることに。そういえば、ここはテレビ番組で、ジェイミーがバイクに乗って買出しに来ていたところだったかな。
おいしそうな匂いが立ち込める屋台フードも気になりつつ、うらやましかったのは、フランスのバターの量り売り。イギリスの乳製品もおいしいけれど、フランスの塩の入っていないタイプのバターって、本当においしい。日本でよく行くスーパーには、エシレ・バターぐらいしかないので、ガラスのショウケースの中のいくつかの種類から選んでカットしてもらっている様子がうらやましくて、じーっと見てしまった。
他にも、大きくておいしそうなイタリアのパンチェッタを目の前で薄く切ってもらって、欲しい分だけ持ち帰る人や、パンドカンパーニュなどのしっかりとしたハード系のパンが山積みになっている中から選ぶ人、独特のテクスチャーがおいしいイギリスのソーセージを包んでもらう人、入れ墨の入った太い腕のおじさんにまるごとチキンを選んでもらう人、食べでのありそうなケーキを箱に詰めてもらう人・・・。みんな、今夜の夕食は充実していているんだろうな。
来年は、到着の翌日にここに来て食材調達できたらいいな、と早くも次回の予定を考えていた。
左:バターの量り売り。中:平井堅似のお兄さんが丁寧にパンチェッタを薄切り。右:ボリュームたっぷりのラズベリー・チーズケーキ。
たくさん歩いて、おいしそうなものを目の前にして、いい感じにおなかがすいてきた。今夜は、ロンドンの大学時代の友人たちと Julie's Restaurant で夕食。素敵なセレクトショップやキッチン雑貨のお店、Cath Kidstonなどの近くにある、一度行ってみたかったレストラン。雰囲気のある店内もコージーで心地よく、料理もおいしかった。大学で初めて会ったころから、もう10年以上経っていることにお互い改めて驚きながら、ゆっくり食事を楽しんだ。最後の夜にふさわしい時間を過ごせて、ここでの食事をセッティングしてくれた友人に感謝。
明日は13時の飛行機で発つ。打ち合わせや仕事をしながらも、やはり今年も自分自身をまた見つめなおしながら過ごした10日間だった。持ち帰る“コト”をきちんと消化して、これからのことにちゃんと生かしたいと思う。
(写真:初めて泊まる場所は、部屋になじむまでに少し時間がかかる。その時間を短くするのに協力してくれるもののひとつが植物。到着した日から少しずつ花を開かせながら、一緒に過ごし、部屋で待ってくれたお花とも明日でお別れ)
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