思い出し笑い2 色合わせ
就職活動をしていた学生のころ、私はサンリオのグリーティングカード事業部に入りたくて、無謀にもサンリオ一本だけに絞って活動していた。結局落ちて、それからあわてて就職活動先を広げたおバカさん。サンリオに入れたとしても、希望どおりグリーティングカード事業部に配属されるかもわからないのに。(その頃、サンリオはホールマーク社と提携していたので、実にさまざまなグリーティングカードを展開していた)
というわけで、グリーティングカードがとても好きで、旅行するとカードショップや、マーケットで売られているハンドメイドのカード、デパートなどのカードコーナーを必ず見る。用途のヴァリエーションがたいへん豊富なのが、まず面白い。さらにブラックユーモアたっぷりなイギリスらしいものもある。グリーティング・カードを送るという文化は欧米のものなのだなぁといつも感じ入ってしまう。
今年は、洋服というのものは欧米のものなんだなぁと思ってしまった。日本に洋服が入ってきたのは、明治維新以降だもの。まだまだ歴史は浅い。
なぜそんなふうに感じたかというと、街を歩く人々の洋服の色づかいのせいだろうか。別にたいしてお洒落な人ではなくても、色を必ずどこかリンクさせている。ぺったんこのバレエシューズとストールだったり、ブローチとバッグだったり。それがいやらしくない程度にリンクしている。私も色のリンクは心がけるようにしているけど、気をつけないと「やりすぎ警報」になる。色リンクにからだの大きさが負けてしまったり、黒い髪がじゃまをする時もある。
(写真右:こんなはっきりしたピンクを2つ顔まわりに持ってくるのは、「やりすぎ警報」なのだけど、お年を召した方がむか~しからずっと着ているんだろうな、という古ぼけたコートに合わせてコーディネートしていると、なんだか好感が持てる)
きれいなブルーのバッグだなぁとバス停で見かけた女性は、コートの下のカーディガンのさらに下にちらりと見えるタンクトップが同じブルー。かばんから出てきたお財布もブルーだった。たぶん彼女の好きな色か、ラッキカラーなのだろう。
ぽんぽこりんのおなかでヘソ出しファッションの黒人の女の子は、真っ赤なローファーを履いて、首元には赤いストールをまいている。他に身につけている色は黒か白。肌も髪も黒いので、赤が妙にインパクトがあって映える。
地下鉄で見かけて、かわいいなと思った女の子。古い古いトレンチコート、黒タイツ、黒いバレエシューズ、黒いボロボロの小さなバーキンを身に着けている。どれも使い込んだ様子で、バーキンもトレンチも縫い目がほどけているくらい。たぶんヴィンテージショップで手に入れて、コーディネイトしているんだろう。
あとは、老婦人の遊びごころある装いがかわいらしかったな。チェルシー・フラワー・ショウで見かけたご婦人は、コートも帽子も真っ白という出で立ちで、短い爪には真っ赤なマニキュア、まとめた髪には小さなお花のコサージュ。フラワー・ショウなので、お花を胸につけている人が多くて、私もいつもお花のブローチやコサージュをジャケットの胸元につけて出かけるのが習慣になっている。
会場で、お花のモチーフや色にちなんだものを身につける老婦人を見るたびに、顔がほころんだことを思い出しながら、また思い出し微笑。
<おまけ>
色合わせの楽しさを、チェルシー・フラワー・ショウ2006から。
(写真はクリックすると大きくなります)
同じ色、種類のラベンダーでも、組み合わせ次第で表情がこんなに変わる。
左はオレンジ色と組み合わせて。奥のチューリップの花びらにオレンジ色がリフレインされている。
中は、華やかなピンクとの組み合わせ。ちょっぴり白っぽいチューリップの葉色とラベンダーの葉色が手前のサントリーナなどのシルバーリーフで強調される。ピンクのチューリップよりも少し低めに配された深い色のチューリップが全体のトーンを美しく調和させている。
右は明るいピンクとの組み合わせ。手前のシルバーリーフと右奥のアリウムが全体をやわらかく印象づけている。
花色と同じ葉色の植物を配置すると、ぐっとシックになる。モダンな庭に映える色あわせ。
左の大きな鉢の植え込みは、上部のスモーキーブルーの葉色と下部のグリーンの葉色を、間に植えたブルーのビオラがつないでいる。
右は、クローバーの明るいグリーンの縁取りが、奥のこんもりと丸い植え込みにリンクしてきれい。
色のくりかえし。
左は真っ白な幹の足もとに白いレース状の花が広がる。パッと目に入ってきたときの、さわやかでのびのびとした印象が頭から離れない。
右:微妙に異なる淡い紫色がくりかえされるたびに庭に奥行きが生まれる。
左は、シルバーリーフと白い花、淡いピンク色の花の集まり。左側に植えられた紫色のラベンダーが全体を引き締めて、淡い色のかたまりをぼやけさせない。
右は、シルバーカラーの葉に、紫の濃淡と白い花色が繰り返し、さらに植物の高低により、全体に広がりを感じさせている。
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