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29 April 2006

チェルシー・フラワー・ショウ 2002 <9>

it could plan ideas in your head"
さまざまな魅力、余韻をいつまでも味わえるショウ

(いずれの写真もクリックすると大きめの画像が開きます)

Rose3 チェルシー・フラワー・ショウの期間中、BBCでは毎晩8時から1時間の特別番組が放映されました。21日から始まるショウを前に、19日からプレ番組がスタート。会場からは、ショウ・ガーデンやフローラル・パビリオン内の各スペースが作られる様子がリポートされ、ショウへの期待がますます高まります。

Flowers1 審査前日の夜遅くまで仕上げたり、徹夜をする人々の姿もありました。20日の審査当日には、花がらを丁寧に摘み取ったり、レンガやエッジにブラシをかけてきれいに整える、緊張した様子がうかがえます。ショウ初日の21日の朝、審査結果が発表。賞をもらって大喜びする人々、胸がいっぱいだと目をうるませる人・・・。どれだけ権威あるショーなのかを改めて感じさせられるシーンでした。

BBCには、"Gardener's World"などガーデニングに関する人気番組がいくつかあります。番組の魅力はなんといってもプレゼンターの面々。それぞれのプレゼンターに個性があり、皆がそれぞれの視点でガーデニングを愛し、番組づくりをしていることが伝わってきます。植物を育てることだけでなく、それぞれのライフスタイルにあった庭づくりをすることの楽しさ、素晴らしさを一緒に実感できるような番組で、見終わったあとになぜか幸せな気持ちになってしまうのです。
 →BBCのガーデニング・サイト

チェルシー・フラワー・ショウの特別番組も、テレビでおなじみのMr. Alan Titchmarsh、Mr. Diarmuid Gavinと、Ms. Rachel de Thameの主に3人で進行されました。

1_6 Alanは1995年から"Gardener's World"を担当する「超」人気プレゼンター。日焼けした中年の男性で、いきいきとしたあたたかみある話し方、植物を愛してやまない様子が親しみを感じさせます。番組内で、"Queen Mother"という名前のスイートピーの香りを幸せそうにかぐ姿が印象的でした。イギリスでの彼の人気は本当にびっくりするほどで、残念ながら、"Gardener's World"を降りることが発表された6月末以降、彼を惜しむファンのメールや手紙がBBCにはたくさん届いているそうです。今後、どんな新しい番組に登場するのか楽しみです。
<写真左:Mr. Alan Titchmarsh>

2_5 一方のDiarmuidは、コンクリートなどをどーんと配したモダンでアーキテクチュアルなデザインを得意とする、アイルランド人のガーデンデザイナー。アイルランドのマーク入りのグリーンのトレーナーにジーンズというラフなスタイルで登場していました。今年のチェルシー・フラワー・ショウは「自然回帰」の傾向だったので、彼自身はあまり好みではなかったかもしれません。番組内でも、彼はモダンなガーデンの紹介を担当していました。
<写真右:Mr. Diarmuid Gavin>

3_8 正反対ともいえる好みを持つAlanとDiarmuid。この二人のやりとりが楽しい番組でもありました。Alanは植物が好きだからなぁとジョークを交えて話すDiarmuidは、鉢植えの小木を持ち上げるときの武骨さから、植物自身にはあまり興味がないことがうかがえます。そんな個性を尊重した番組づくりも魅力でしょうか。二人で毎日探してくるトピックスの中には、"The Garden of Transparency"に植え込まれた木にblack birdが巣を作り始めているなんてものも。見事に作られたガーデンがよほど居心地よかったのでしょう。ショウの終了後には取り壊されるので、つかの間の仮宿ですね。
もうひとりのプレゼンター、Rachelはバラが好きなとても美しい女性です。今回のショウで一番好きなのは黒っぽい色のアイリスだと話していました。
<写真左:Ms. Rachel de Thame>

会場を歩く途中では、BBCの番組収録に出くわすこともしばしば。テレビでおなじみのプレゼンターが、真剣な面持ちで打ち合わせしたり、楽しそうに出展者と話しています。そして、そのまわりにはたくさんの人! Alanになど、まったく近づくことができませんでした。

以降毎晩の番組では、会場からの映像とあわせて、事前に出展デザイナーやナーセリーを追った詳しい取材映像も紹介されます。

Koi 見事な鯉の池が人々の興味を集めた"World of Koi"の出展者が、日本まで鯉を買い付けに行く様子を追うリポートもありました。新潟県山古志村にある養殖の池でいきいきと泳ぐ鯉を嬉しそうに見ながら、「予算に糸目はつけない」と品定め。気に入った鯉のなかには、1万ポンド(約190万円)以上のものもあったようです。

他にもGoldメダルを受賞した"Tearmann si - A Celtic Sanctuary"のアイルランド人の女性デザイナーが、アイルランドの荒れた草原から岩を運ぶ様子や、蓼科の「バラクラ イングリッシュ ガーデン」も人気のプレゼンター、Mr. Chris Beardshawが来日して丁寧に取材されていました。

ショウ・ガーデン以外の小さな出展者にも目を向けた番組づくりをしていることにも好感を持ちました。インドからのフラワーアレンジメントの出展者は、花材全部を持ってくることができないので、コベントガーデンの花市場に買出しに行く様子がリポート。イメージするアレンジに近い花をみつけられたと静かに語る、サリーを着た年配の女性二人。メダルは何もなかったけれど?というインタビューに、ここにいることに意味があり、光栄です。参加できてよかったと満足そうに微笑んでいました。いろいろな物語があるんですね。

番組途中で何度も挿入されるキーワードが、"it could plan ideas in your head"。いろんなことを感じ、楽しませてくれたショウ、そして番組でした。

 BBCのガーデニング・サイトの中にチェルシー・フラワー・ショウのコーナーがあり、
 各ガーデンを360度の角度から見ることができます。
 →http://www.bbc.co.uk/gardening/events/chelsea/

そして、ショウ最後の恒例のお楽しみ。ショウ最終日の夕方4時30分、アナウンスとともにAlanが鐘を鳴らし、セールがスタート!展示された切花や鉢植えなどが一斉に即売されるのです。Alanが鐘を鳴らす様子はBBCのニュースでも放映されていました。毎年これが楽しみで、ショウの最終日に出かける人も多いそうです。

St_1  24日夕刻の地下鉄Sloan Square(スローン・スクエア)駅は、花を抱えた人々であふれ、入場制限もあるほど。去年、ショウの最終日の夕方にちょうどSloan Square駅を地下鉄で通り、両手に花を持ったニコニコと幸せそうな人々がホームにいっぱいだったことを思い出します。

5_3 駅からはみ出した、嬉しそうな表情の人々の様子をカメラにおさめているうちに、こちらまで嬉しい気持ちになりました。それぞれが抱える花々に好みがかいまみれるのも面白い。持ち帰った花々をどう飾り、どう植え込んだのでしょう。5月のこの素晴らしいイベントに来年もまた立ち会えることを心から願いながら、夢のように楽しかったショウに別れを告げました。

「通常、人々が庭を作るのは一生に一度のこと。それには流行なんて関係ない。自分のライフスタイル、コンセプトにあった、本当に自分の好きな庭づくりをすることが大切で、その感覚をデザイナーも持ちつづけることが大事だと私は思う。」
Silverメダルを受賞した"Through the Glass Ceiling"のMiriam Book女史が言っていたことです。今回のショウでいちばん心に残った言葉でした。

~そのほかの写真~

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<左から:ラベンダーの大株! 、ニチニチソウのポットをたくさん、黄色い花好きの二人? 、両手に花>

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<左から:顔が見えないほど! 、リュックにも・・・、見事なクレマチス 思わず笑顔、ピンクの花とポールと 重そう>

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<左から:ゼラニウム好きなおじいさん、チェルシーの街並を背景に、アルストロメリアばかり、スプレー菊の切花を抱える男性 おみやげかな>

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<左から:駅からあふれる人々、パブでひと休み>

※このリポートはMainichi INTERACTIVE(毎日新聞)に2002年に連載したものです。イベント日時などは当時のものですので、ご注意ください。

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